【自己紹介】
新潟県三条市在住。新潟市を拠点に活動する劇団カタコンベ所属(現在は休団中)の俳優。「演劇クエスト」は前回の京急文月編に続き、二度目の参加でした。前回は『とにかく海が見たい!』の一心で冒険の書は参考程度な感じだったので、今回は冒険の書に振り回されて(?)みようと思っていました。
【冒険の記録】
▼1
〈17時のラストシーンをどこでどう迎えるか、〉という一節が、強く残る。
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▼150
旧マイカル本牧前。かつての映画館。新潟の母校(映画の専門学校)も、かつての映画館だったこと(マイカルほど大きな映画館ではなかったけれど、)地元にある唯一の映画館もマイカルだということを思い出す。
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▼140
・インストラクションに従い本牧通りを歩いていたつもりだったけど、いつまでたってもカーネルおじさんを発見できず、いきなり焦る。〈すぐにカーネルおじさんのいるケンタッキーを発見するはずだ。〉の「すぐに」と、私の感覚の「すぐに」が違っていたらしい。焦りつつ恐る恐る道を進み、ようやっとカーネルおじさんを発見したときの高揚感がすごかった。
・霊感ゼロの私には、「白い家」が発見できなかった。これかな?と思った白い家は、軒並み生活感に溢れていていた。
・休日の中学校には、テニスコートにも校庭にも、ひとっこひとりおらず、静かだった。ここだけ別世界、みたいな気持ちになる。
・コミュニティハウスでアイテムを受け取る。方位磁石の使い方がうまくないので、一抹の不安を覚える。が、アイテムをゲットしたことがうれしかった(しかもこの日の一番乗りだったので、なおのこと。)
・受付の人いわく「センター長(?)がね、あ、今日はいないんですけど、「ここで時間をとらせてしまってはかわいそうだから」って、結構わかりやすいところに置いたんですよ」という『クレヨン王国の12か月』を探す。ほんとに「結構わかりやすいところ」だけど、探さないと見つけられない感の絶妙さが可笑しかった。
・受付の人と話していて、「本牧は陸の孤島なんですよ」と言われる。埋め立てて湾に張り出していて、駅が遠いから「陸の孤島」だそう。
・コミュニティハウスをあとにし、テニスコートの脇らへんで他の冒険者と遭遇する。「あ!」と思うも、声をかけるでもなくすれ違う。
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▼171
・海に近づこうと中学校脇の小道を選択。が、たぶん小道ちがいをしたらしい?行けども行けども信号のある交差点はなく、大きな道に出てしまう。とりあえず交差点を探して進んでみる。
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▼10
・左手にマンション群は見えているけれど、〈パネルに絵の描かれた小さな広場が脇にある、信号機のある交差点〉が見つからない。早速、冒険の書迷子になってしまった…。冒険の書を離れ、並木道を進んでみる。
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・左手にイトーヨーカドーが現れて、側溝に何かを落としたらしい女性と警備員さんが、さらわれたドブの山の前で呆然としていた。
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・本牧通りに出て、Golden Cupの前で休憩。バスに乗ってみようと思い立ち、本牧二丁目でバスを待っているあいだ、たぶん小学生の男の子が歌う「君をのせて」がどこからともなく聞こえてくる。♪地球はまわる 君をのせて いつかきっと出会うぼくらをのせて
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・乗車したバスは横浜本牧駅ゆきだった。乗車して、冒険の書のなかから横浜本牧駅の記述があるパラグラフを探す。お母さんにおんぶされた赤ちゃんに見つめられたので、ニコニコしたり変な顔したりしていたら、笑ってくれた。わりと混雑した車内、赤ちゃんの周りにいる大人たちはみな一様に赤ちゃんを見つめ、微笑んでいた。無表情だった若い男の人が、下車間際に赤ちゃんと目が合って、ふっと微笑んだ瞬間を見た。
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▼3
・横浜本牧駅というからには駅っぽさがあるんだろうなーと思っていたので、肩すかしを喰らった。が、工場萌えの私は線路の奥に見えている景色にかなり興奮。さっき降りたばかりの横浜本牧駅バス停から、本牧車庫ゆきのバスに乗る。
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▼15
・車庫のなかを進む。ウロウロしていたら、バスを運転している車掌さんに「どうもー」と声をかけられてビビる。「あっ!(どうしよう怒られる!)ど、どうも…!」と返事をしたら、笑顔で地面を指差される。〈歩行者専用〉の白い文字。
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▼100
・営業所のなかに入り「すいませーん」と声をかけると、おじさんたちがザワザワしはじめたのでやっぱりビビる。「あっあの、これなんですけど…」と冒険の書を見せると、ひとりのおじさんが「ああはいはい、」と言って何やらカゴを出してきたので安心した。
・〈用が済んだら帰ろう。〉のインストラクションに従い、すぐに営業所をあとにする。歩きながら、受け取った『海に逃げた馬の記憶』を読み、なぜだか泣きそうになる。啓示、とかいってしまうと途端に胡散臭くなるけれど、こういうのはひとつの啓示だなと私は思っていて、今このタイミングで・こんなふうに巡り合ったこのおはなしを、巡り会ったということを、大切にしようと思った。
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▼46
・〈不思議な形状をしたマンション〉のかっこよさ!かっこよすぎて、しばらく眺めていた。マンション前に停まっている車の横で中年男女が小さめに言い争いをしていて、なぜか私は勝手に『あーこりゃ不倫だな…』と決めつけていた(たぶん普通に夫婦だったと思う。)
・八聖殿へ続く階段が見つけられずマンションのなかに入りかけるも、パラグラフ140のこと(インストラクションの「すぐに」と私の感覚の「すぐに」のズレ)を思い出して、もうちょっと先に進んだらきっと階段が現れるに違いない!と道を進む。狭い歩道、うしろから自転車に乗った少年がふたりやってきたので、端によける。すれ違いざま、少年たちに怪訝な顔をされた気がした。
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▼73
・八聖殿へ続く階段をのぼり、さらにもう少し坂のぼり、フェンス越しに湾岸の工場地帯を見渡す。そのすぐ手前にはローラースケートをしているこどもたちが見えた。ベンチに座り、工場地帯を眺めながら、煙草を吸う。『もう、ここでラストを迎えてもいいかも…』と一瞬よぎったけど、〈湾岸エリアに出られる〉とのことだったので、行ってみることにする。
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▼46
・本牧公園入り口バス停を通過。バス停に立っている人がみんな、演劇クエスターに見えてくる。
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▼133
・左手に見える野球場で、少年野球。
私にはふたり、弟がいて、真ん中の弟は小学生のころから野球をやっていた。ので、少年野球とか甲子園とか草野球とか見ると、「おっ!」と思いつつ、ちょっと複雑な気持ちになる(私の歪んだ印象だけど、幼いころ、両親は、私のことは放ったらかしで/野球をやっている弟には過保護だったから。今はもう何も思わないけれど、少年野球とか甲子園とか草野球とかを見ると、なんともいえない感覚がこみ上げてくる。)
・たぶんトイレか何かに行くために一回フェンスの外に出たらしい小柄な野球少年が、フェンスの内側に戻れずに右往左往していた。誰も彼が右往左往していることに気づかなかった。
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▼13
・〈トラックがひっきりなしに走っており〉とのことだったけれど、この日はトラックすら走っていないほど静まり返っていた、かもめ町。そして、ひとっこひとり、いやしない…。この日はとてもいい天気で、目の前につづく真っ直ぐな道と・その両側に立っている工場の風景に(歩き疲れたこともあって、)目眩がした。この世界に自分だけしかいない、もしくはほんとうはいないのは自分なのではないか、と思う。ふ頭の先へと向かう橋を目指して、ひたすら歩く。
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・ふ頭の先へと向かう橋へのゲートは閉ざされていた!力が抜ける…。岸壁の上で釣りをする人がちらほら、その人たちが持ってきたらしい脚立を借りて、私も岸壁に登ってやろうかしらと思ったけど、やめた。かもめ町バス停には中年男性が3人、バスを待っていて、私も彼らとバスを待つことにする。列をなすでもなく、それぞれがなんとなーくバス停の近くに立って、待ちぼうけていた。
・バスの車内には、中年男性と東南アジア系の顔立ちの高校生男子、老人。高校生男子が下車するとき、車掌さんに「ありがとうございましたー」と声をかけていたのでビックリした(地元ではわりと普通の光景なのだけど、東京とか横浜とかに出てきてバスに乗ったときには遭遇したことがなかったので。)
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・気まぐれに本牧ふ頭入り口で下車。車内では気がつかなかったけど、同じバスに乗っていて・同じところで下車したらしい、赤い本を手にした男性を見かける。『私と同じで、本牧ふ頭入り口のバス停を探しているんだろうな…』と思いつつも、声はかけなかった。パラグラフ49の地図を頼りに、②のバス停からバスに乗る。
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▼26
・バスの系統番号と同じパラグラフを参照するといいっぽいんだった!ということを思い出し、シンボルタワーを目指してみることに。車窓からの景色がどんどんまちっぽくなって、客層も家族連れや若いカップルなどに変化していった。パパそっくりの天然パーマが超絶かわいい男の子にニッコリ笑われる。『ほんとにどんどんまちになっていくな~、これシンボルタワーに向かっているのかな~?』と思いつつ、歩き疲れた私はウトウトと眠ってしまう。
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・ハッと目を覚ますと、マリンタワー前のバス停だった。『えっ、このまま行くと桜木町ですって!?』とようやくバスの行き先を確認した私は、慌てて下車する。シンボルタワーを目指していたはずだったのにマリンタワーにたどりついてしまって、脱力。
・とりあえずどこかでお茶をしようと思い、中華街の近くのドトールに入る(なんか、すごく負けた気がする。)三連休の中日ということもあって、この界隈は観光客で溢れ返っていた。ご多分に漏れずドトールも混雑していて、レジに並んでいたら若い女の人に割り込みされた。この日の前夜、横浜へ向かう高速バスに乗る前に寄ったコンビニでも酔っ払いのオッサンにレジで割り込みされたことを思い出す(そのときはなんだか妙に腹が立って、「いいですよ、どうぞ(先に会計してください)」と私は言い、会計しているオッサンの後頭部を睨みつづけていた。)ドトールで割り込みしてきた女の人は私の存在に気づいていなかったようで、さも当たり前であるかのように注文と会計を済ませていった。
・喫煙席の窓際のはじっこで、行き交う観光客を見ながらコーヒーを飲む。冒険の書をめくりながら、これからどうしようか…と考えるも、何も浮かんでこなくて、何も浮かんでこないことに焦る。どこに行きたいのか、〈17時のラストシーンをどこでどう迎えるか、〉が、少しもわからなくなってしまった。
・ドトールをあとにして、道端で記念撮影をする人たちの邪魔にならないように山下公園の脇を歩く。マリンタワー前のバス停で、15時半を迎える。パラグラフ50の〈思い残すことはないだろうか?〉に、思い残すことだらけのような気がするし・でもだからって自分が何を/何に思い残しているのかがほんとうにサッパリわからず、途方に暮れる。ひとまず、パラグラフ116に戻ってみることにする。
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▼116
・マリンタワー前からバスに乗る。『あ、このバス、さっきここに来るまで通ってきた道を、そっくりそのまま戻っているんだ…』と思ったら、なんだか悲しくなった。
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▼26
・バスに揺られながら、『一回本牧に戻ろう、そして本牧神社に行って、縁結びか縁切りをしよう』と思う。そのためにはたぶん、小港橋のバス停で下車するのがいいのだろうなと思ったけど、なんだか気が進まなかったので、海づり桟橋を目指すことに。
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▼60
・夕暮れの海づり桟橋。「すいません、お手洗いをお借りしたいのですが、100円かかりますか…?」と受付のおばさんに訊ねてみたら、「トイレくらいならいいですよ!向こうに行くんだったら100円かかりますけど!」と言われる。ご好意に甘えてタダでお手洗いを借りる。受付のおばさんのいう「向こう」には、海の上にまーっすぐ浮かんでいる桟橋、の上に、釣り人たちがひしめいていた。『100円くらいなら桟橋に行ってみるのもいいかな…』と思ったけど、人ごみのなかを行く気持ちになれず、しばらく遠くから桟橋を眺めていた。どんどん日が落ちて、16時半前くらい。あと30分ほどで演劇クエストのエンディングだと思ったら、まだどこかに行けるんじゃないか?という気持ちになったけど、これからどこへ行ったらいいのか、というかどこに行きたいのかが見つからなかった。見つからなかったけれどここではない。ここではないのだけれど、じゃあどこなのかが分からず、焦燥感に駆られる。ひとまずバスに乗ろうと、海づり桟橋のバス停でバスを待っているあいだに日没。家族連れが多い。お兄ちゃんに荷物を奪われた女の子が全力でお兄ちゃんの背中をポカポカ殴っていて、お母さんに怒られていた。一部始終を見ていたので、『ほんとはお兄ちゃんがいじわるしたからなのにな…』と思う。
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▼26
・3度目の26系統。普段からわりと後ろの座席にしか座らないのだけど、先頭座席に座ってみる、運転席側。〈17時のラストシーンをどこでどう迎えるか、〉に頭がいっぱいで、景色のことを何も覚えていない。とにかくスタート地点周辺に戻りたい!という気持ちでいっぱい。
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▼22
・小港橋バス停。遠くに小さく、自由の女神が見える。ここへきてようやく(しかも急に、)この周辺の位置関係を把握する。まもなく17時になっちゃうどうしよう、イトーヨーカドーに戻ってくるっていうラストシーンはなんかやだ!と思い、徒歩で本牧通りをスタート地点方面へ。七叉路が近いんじゃなかったかしら、と思ったけど、たしかメリーゴーランドがあるんだった!ということを思い出し、一目散に早歩き。
・すっかり日も暮れて真っ暗な本牧通りに、ピカピカ光っていて真っ白くて小さなメリーゴーランドがあった。可愛い天使たちが馬に跨がっていて、大人たちはそのまわりで、写真を撮ったり動画を撮ったり手を振ったりしていた。その一画だけ夢のなかみたいな、やわらかい空気に包まれていた。
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