2014年11月30日日曜日

牧田 夏姫

【自己紹介】
新潟県三条市在住。新潟市を拠点に活動する劇団カタコンベ所属(現在は休団中)俳優。「演劇クエスト」は前回京急文月編に続き、二度目参加でした。前回は『とにかく海が見たい!』一心で冒険書は参考程度な感じだったで、今回は冒険書に振り回されて(?)みようと思っていました。


冒険記録
▼1
〈17時ラストシーンをどこでどう迎えるか、〉という一節が、強く残る。
▼150
旧マイカル本牧前。かつて映画館。新潟母校(映画専門学校)も、かつて映画館だったこと(マイカルほど大きな映画館ではなかったけれど、)地元にある唯一映画館もマイカルだということを思い出す。
▼140
インストラクションに従い本牧通りを歩いていたつもりだったけど、いつまでたってもカーネルおじさんを発見できず、いきなり焦る。〈すぐにカーネルおじさんいるケンタッキーを発見するはずだ。〉「すぐに」と、私感覚「すぐに」が違っていたらしい。焦りつつ恐る恐る道を進み、ようやっとカーネルおじさんを発見したとき高揚感がすごかった
・霊感ゼロ私には、「白い家」が発見できなかった。これかな?と思った白い家は、軒並み生活感に溢れていていた。
・休日中学校には、テニスコートにも校庭にも、ひとっこひとりおらず、静かだった。ここだけ別世界、みたいな気持ちになる。
・コミュニティハウスでアイテムを受け取る。方位磁石使い方がうまくないで、一抹不安を覚える。が、アイテムをゲットしたことがうれしかった(しかもこ一番乗りだったで、なおこと。)
・受付人いわく「センター長(?)がね、あ、今日はいないんですけど、「ここで時間をとらせてしまってはかわいそうだから」って、結構わかりやすいところに置いたんですよ」という『クレヨン王国12か月』を探す。ほんとに「結構わかりやすいところ」だけど、探さないと見つけられない感絶妙さが可笑しかった。
・受付人と話していて、「本牧は陸孤島なんですよ」と言われる。埋め立てて湾に張り出していて、駅が遠いから「孤島」だそう。
・コミュニティハウスをあとにし、テニスコート脇らへんで他冒険者と遭遇する。「あ!」と思うも、声をかけるでもなくすれ違う。
▼171
・海に近づこうと中学校脇小道を選択。が、たぶん小道ちがいをしたらしい?行けども行けども信号ある交差点はなく、大きな道に出てしまう。とりあえず交差点を探して進んでみる。
▼10
・左手にマンション群は見えているけれど、〈パネルに絵描かれた小さな広場が脇にある、信号機ある交差点〉が見つからない。早速、冒険書迷子になってしまった…。冒険書を離れ、並木道を進んでみる。
・左手にイトーヨーカドーが現れて、側溝に何かを落としたらしい女性と警備員さんが、さらわれたドブ前で呆然としていた。
・本牧通りに出て、Golden Cup前で休憩。バスに乗ってみようと思い立ち、本牧二丁目でバスを待っているあいだ、たぶん小学生子が歌う「君をせて」がどこからともなく聞こえてくる。♪地球はまわる 君をせて いつかきっと出会うぼくらをせて
・乗車したバスは横浜本牧駅ゆきだった。乗車して、冒険なかから横浜本牧駅記述があるパラグラフを探す。お母さんにおんぶされた赤ちゃんに見つめられたで、ニコニコしたり変な顔したりしていたら、笑ってくれた。わりと混雑した車内、赤ちゃん周りにいる大人たちはみな一様に赤ちゃんを見つめ、微笑んでいた。無表情だった若い男人が、下車間際に赤ちゃんと目が合って、ふっと微笑んだ瞬間を見た。
▼3
横浜本牧駅というからには駅っぽさがあるんだろうなーと思っていで、肩すかしを喰らった。が、工場萌え私は線路奥に見えている景色にかなり興奮。さっき降りたばかり横浜本牧駅バス停から、本牧車庫ゆきバスに乗る。
▼15
・車庫なかを進む。ウロウロしていたら、バスを運転している車掌さんに「どうもー」と声をかけられてビビる。「あっ!(どうしよう怒られる!)ど、どうも…!」と返事をしたら、笑顔で地面を指差される。〈歩行者専用〉白い文字。
▼100
・営業所なかに入り「すいませーん」と声をかけると、おじさんたちがザワザワしはじめたでやっぱりビビる。「あっあ、これなんですけど…」と冒険書を見せると、ひとりおじさんが「ああはいはい、」と言って何やらカゴを出してきたで安心した。
・〈用が済んだら帰ろう。〉インストラクションに従い、すぐに営業所をあとにする。歩きながら、受け取った『海に逃げた馬記憶』を読み、なぜだか泣きそうになる。啓示、とかいってしまうと途端に胡散臭くなるけれど、こういうはひとつ啓示だなと私は思っていて、今こタイミングで・こんなふうに巡り合ったこおはなしを、巡り会ったということを、大切にしようと思った。
▼46
・〈不思議な形状をしたマンション〉かっこよさ!かっこよすぎて、しばらく眺めていた。マンション前に停まっている車横で中年男女が小さめに言い争いをしていて、なぜか私は勝手に『あーこりゃ不倫だな…』と決めつけていた(たぶん普通に夫婦だったと思う。)
八聖殿へ続く階段が見つけられずマンションなかに入りかけるも、パラグラフ140こと(インストラクション「すぐに」と私感覚「すぐに」ズレ)を思い出して、もうちょっと先に進んだらきっと階段が現れるに違いない!と道を進む。狭い歩道、うしろから自転車に乗った少年がふたりやってきたで、端によける。すれ違いざま、少年たちに怪訝な顔をされた気がした。
▼73
・八聖殿へ続く階段をぼり、さらにもう少し坂ぼり、フェンス越しに湾岸工場地帯を見渡す。すぐ手前にはローラースケートをしているこどもたちが見えた。ベンチに座り、工場地帯を眺めながら、煙草を吸う。『もう、ここでラストを迎えてもいいかも…』と一瞬よぎったけど、〈湾岸エリアに出られる〉とことだったで、行ってみることにする。
▼46
・本牧公園入り口バス停を通過。バス停に立っている人がみんな、演劇クエスターに見えてくる。
▼133
・左手に見える野球場で、少年野球。
私にはふたり、弟がいて、真ん中弟は小学生ころから野球をやっていた。で、少年野球とか甲子園とか草野球とか見ると、「おっ!」と思いつつ、ちょっと複雑な気持ちになる(歪んだ印象だけど、幼いころ、両親は、ことは放ったらかしで/野球をやっている弟には過保護だったから。今はもう何も思わないけれど、少年野球とか甲子園とか草野球とかを見ると、なんともいえない感覚がこみ上げてくる。)
たぶんトイレか何かに行くために一回フェンス外に出たらしい小柄な野球少年が、フェンス内側に戻れずに右往左往していた。誰も彼が右往左往していることに気づかなかった。
▼13
・〈トラックがひっきりなしに走っており〉ことだったけれど、日はトラックすら走っていないほど静まり返っていた、かもめ町。そして、ひとっこひとり、いやしない…。日はとてもいい天気で、目前につづく真っ直ぐな道と・両側に立っている工場風景に(歩き疲れたこともあって、)目眩がした。こ世界に自分だけしかいない、もしくはほんとうはいないは自分なではないか、と思う。ふ頭先へと向かう橋を目指して、ひたすら歩く。
・ふ頭先へと向かう橋へゲートは閉ざされていた!力が抜ける…。岸壁上で釣りをする人がちらほら、人たちが持ってきたらしい脚立を借りて、私も岸壁に登ってやろうかしらと思ったけど、やめた。かもめ町バス停には中年男性が3人、バスを待っていて、私も彼らとバスを待つことにする。列をなすでもなく、それぞれがなんとなーくバス停近くに立って、待ちぼうけていた。
・バス車内には、中年男性と東南アジア系顔立ち高校生男子、老人。高校生男子が下車するとき、車掌さんに「ありがとうございましたー」と声をかけていたでビックリした(地元ではわりと普通光景なだけど、東京とか横浜とかに出てきてバスに乗ったときには遭遇したことがなかったで。)
・気まぐれに本牧ふ頭入り口で下車。車内では気がつかなかったけど、同じバスに乗っていて・同じところで下車したらしい、赤い本を手にした男性を見かける。『私と同じで、本牧ふ頭入り口バス停を探しているんだろうな…』と思いつつも、声はかけなかった。パラグラフ49地図を頼りに、②バス停からバスに乗る。
▼26
バス系統番号と同じパラグラフを参照するといいっぽいんだった!ということを思い出し、シンボルタワーを目指してみることに。車窓から景色がどんどんまちっぽくなって、客層も家族連れや若いカップルなどに変化していった。パパそっくり天然パーマが超絶かわいい男子にニッコリ笑われる。『ほんとにどんどんまちになっていくな~、これシンボルタワーに向かっているかな~?』と思いつつ、歩き疲れた私はウトウトと眠ってしまう。
・ハッと目を覚ますと、マリンタワー前バス停だった。『えっ、まま行くと桜木町ですって!?』とようやくバス行き先を確認した私は、慌てて下車する。シンボルタワーを目指していたはずだったにマリンタワーにたどりついてしまって、脱力。
・とりあえずどこかでお茶をしようと思い、中華街近くドトールに入る(なんか、すごく負けた気がする。)三連休中日ということもあって、界隈は観光客で溢れ返っていた。ご多分に漏れずドトールも混雑していて、レジに並んでいたら若い女人に割り込みされた。こ前夜、横浜へ向かう高速バスに乗る前に寄ったコンビニでも酔っ払いッサンにレジで割り込みされたことを思い出す(ときはなんだか妙に腹が立って、「いいですよ、どうぞ(先に会計してください)」と私は言い、会計しているオッサン後頭部を睨みつづけていた。)ドトールで割り込みしてきた女人は私存在に気づいていなかったようで、さも当たり前であるかように注文と会計を済ませていった。
・喫煙席窓際はじっこで、行き交う観光客を見ながらコーヒーを飲む。冒険書をめくりながら、これからどうしようか…と考えるも、何も浮かんでこなくて、何も浮かんでこないことに焦る。どこに行きたいか、〈17時ラストシーンをどこでどう迎えるか、〉が、少しもわからなくなってしまった。
・ドトールをあとにして、道端で記念撮影をする人たち邪魔にならないように山下公園を歩く。マリンタワー前バス停で、15時半を迎える。パラグラフ50〈思い残すことはないだろうか?〉に、思い残すことだらけような気がするし・でもだからって自分が何を/何に思い残しているかがほんとうにサッパリわからず、途方に暮れる。ひとまず、パラグラフ116に戻ってみることにする。
▼116
・マリンタワー前からバスに乗る。『あ、こバス、さっきここに来るまで通ってきた道を、そっくりそまま戻っているんだ…』と思ったら、なんだか悲しくなった。
▼26
・バスに揺られながら、『一回本牧に戻ろう、そして本牧神社に行って、縁結びか縁切りをしよう』と思う。ためにはたぶん、小港橋バス停で下車するがいいだろうなと思ったけど、なんだか気が進まなかったで、海づり桟橋を目指すことに。
▼60
・夕暮れ海づり桟橋。「すいません、お手洗いをお借りしたいですが、100円かかりますか…?」と受付おばさんに訊ねてみたら、「トイレくらいならいいですよ!向こうに行くんだったら100円かかりますけど!」と言われる。ご好意に甘えてタダでお手洗いを借りる。受付おばさんいう「向こう」には、海上にまーっすぐ浮かんでいる桟橋、上に、釣り人たちがひしめいていた。『100円くらいなら桟橋に行ってみるもいいかな…』と思ったけど、人ごみなかを行く気持ちになれず、しばらく遠くから桟橋を眺めていた。どんどん日が落ちて、16時半前くらい。あと30分ほどで演劇クエストエンディングだと思ったら、まだどこかに行けるんじゃないか?という気持ちになったけど、これからどこへ行ったらいいか、というかどこに行きたいかが見つからなかった。見つからなかったけれどここではない。ここではないだけれど、じゃあどこなかが分からず、焦燥感に駆られる。ひとまずバスに乗ろうと、海づり桟橋バス停でバスを待っているあいだに日没。家族連れが多い。お兄ちゃんに荷物を奪われた女子が全力でお兄ちゃん背中をポカポカ殴っていて、お母さんに怒られていた。一部始終を見ていたで、『ほんとはお兄ちゃんがいじわるしたからなにな…』と思う。
▼26
・3度目26系統。普段からわりと後ろ座席にしか座らないだけど、先頭座席に座ってみる、運転席側。〈17時ラストシーンをどこでどう迎えるか、〉に頭がいっぱいで、景色ことを何も覚えていない。とにかくスタート地点周辺に戻りたい!という気持ちでいっぱい。
▼22
・小港橋バス停。遠くに小さく、自由女神が見える。ここへきてようやく(しかも急に、)周辺位置関係を把握する。まもなく17時になっちゃうどうしよう、イトーヨーカドーに戻ってくるっていうラストシーンはなんかやだ!と思い、徒歩で本牧通りをスタート地点方面へ。七叉路が近いんじゃなかったかしら、と思ったけど、たしかメリーゴーランドがあるんだった!ということを思い出し、一目散に早歩き。
・すっかり日も暮れて真っ暗な本牧通りに、ピカピカ光っていて真っ白くて小さなメリーゴーランドがあった。可愛い天使たちが馬に跨がっていて、大人たちはそまわりで、写真を撮ったり動画を撮ったり手を振ったりしていた。一画だけ夢なかみたいな、やわらかい空気に包まれていた。
 


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